美術品

パワースポットという言葉があります。何らかのご利益のある場所に訪れ、そこにあるパワーを受け取るという考え方は私も嫌いではありません。ですが、色々な意味で共存共益であることを前提としたものであるということを理解した上での行為ならば、宜しいのではないかと思います。インスタ蠅などと批判されることもありますので。

パワースポットに出掛けるのであれば、美術館をお勧めします。

以前のサイトで美術品を Medium として紹介しているのですが、「美しいと感じること」と脳の関係が科学的に証明されつつあります。

Neuroscientists Find Our Experience of Beauty Is Linked to an Unexpected Brain Region と紹介されており、学術論文は The default-mode network represents aesthetic appeal that generalizes across visual domains です。

内容は、美しいと感じとれた時、脳内のデフォルトモードネットワーク(DMN)が活性化されるということです。DMNは「記憶の形成」に関与するだけでなく、「自己と他人」や「モラルや善悪の判断」そして「将来起こりうる事象のイメージ化」に関与しています。M theory としては、将来起こりうる事象を如何に効率良くイメージ化できるかが重要なわけです。

私自身、美術館を巡ったり美術品を飾っているお宅に招かれたりするなど、比較的、芸術作品に触れ合う機会は恵まれている方かもしれません。また、育ての親に手習いとして茶道をさせてもらい、非常に幸運にも小学生の時に家元の手前でお茶をたてさせて頂きました。家元から、物の見方や感じ方だけではなく心というものを直々に教えていただけた事を今でも覚えており、得られた幸運に感謝しています。本職で講演会をする機会もあるのですが、来ていただいた有名な画家に、「君は本物だ」と言葉を頂いた時は、感性というのは本当に大切な要素なんだなと再認識しました。

現実的に言えば、美術品を購入することは難しいですが、美術館に足を運び、そこにある物を見て感じることは容易にできるわけです。

教科書やパンフレットなどに記載されてるものと比較すると、大きさだけをとっても、実物は予想を遥かにこえる大きさの大作で圧倒されます。美しさであったり、響くものであったり、何かを考える機会になったり、そういったもの全て、人にとってのエネルギーとなります。

作品そのものが、製作者が心血を注いて作り上げたエネルギー体ですから。

有名人が紹介するパワースポットが持て囃される昨今ですが、上記の論文通り、本人が美しさという「感性」を認識できるかどうか、そこが重要だと思います。視覚だけでなく、おそらくですが、音楽でも美しいと感じる旋律なども同じではないかと、私は考えています。